1)団体交渉の申し入れがきたら

ここでは、労働者が1人でも加入できるユニオン(合同労組)から団体交渉の申し入れを受けた場合の、使用者側の対応方法について、順序立てて解説いたします。

まずは団交に応じるか否か検討する時間を確保しましょう。

労働者が合同労組に加入して団体交渉を申し入れてきた場合、まず前提として、必ず団体交渉には応じなければならないと考えないでください。


応じる必要がないケースもあります。


そして、労働者が合同労組に加入して団体交渉を申し入れてきた場合、労働組合法第7条の二(使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。)との条文を吟味して、対応することが肝要です。


なにも、見ず知らずの赤の他人の部外者(アウトサイダー)である合同労組からの団体交渉の申し入れを無条件で受け入れる法的義務は、まったくありません。


逆に、無視または放置した方が良かったケースさえあります。


よくある例は、社長が、驚き、慌てて、合同労組の組合事務所へ呼ばれるままに赴くと、社長の心配に反して、彼らは、仏様のような猫なで声で対応します。


ここで勘違いし、安心してしまっては、彼らの思う壺です。


実際は、合同労組に極めて有利な内容の、『労働協約』という書面を書かされる例が多発しています。


「確認書」、「協定」、「議事録」等のもっともらしい名称でも、実務上は、労働契約や就業規則より強い、『労働協約』に変わりはありません。決して騙されてはいけません。


団体交渉に応じないだけで、労働組合法違反の不当労働行為であるなどと合同労組は言ってきますが、とんでもない言いがかりと言うべきでしょう。


では、実務対応ですが、通常、団体交渉の申し入れ書には、回答期日が記載されています。多くの場合、合同労組に都合よく、早めの期日が切られています。


しかし、こちらも暇でないので、すぐに対応できません。


そこで指定期日内に、FAXでこう回答します。


「諸般の事情により、○月○日の期日までには、回答できません。よって、△月△日までに文書にて回答します。」と通知しておいてください。


だって本当に忙しいですからね。その間に対応策を考えます。


合同労組にとって、会社が自分たちを相手にせず、会社内に入れない、電話にも出ない、文書のみなどの対応が取られると、組合加入して組合費を払ってくれる組合員に示しがつかないので、行動しなければならなくなります。


相手の立場を考えれば、それは面倒ですよね。


しかし、会社が動かず、埒が明かないと思えば、合同労組は労働委員会を活用する場合もあります。


労働委員会の実務では、上記の会社の対応について、団交拒否または不誠実団交として、あっせんの対象としたり、不当労働行為手続きを経て、救済命令等を出す場合もあります。


でも、短期間には救済命令も出ませんから心配は無用です。
じっくり時間をかけて検討することですね。


実は、これら合同労組が労働組合法上の保護適格を有する労働組合なのかどうかについては、古くから論議があり、労働委員会の実務上は、かなり寛容な取り扱いがなされておりますが、理論上は、きっちりとした決着がついていない現実があります。


ですから、合同労組から不当労働行為手続きがなされても、審問の開始を避けるべく、あっせんや労動委員会の委員・事務局の職員らを交えて、非公式の折衝で和解を目指す、または、審問に入っても、基本は和解処理となって、それで終わりとなることがよくあります。


実際、全国の労働委員会で係属する調整事件(ほとんどは、あっせんです)の新規件数は、毎年約600件弱です。


その終結状況は、約6割が取り下げまたは解決での和解で終わります。


また、全国の不当労働行為事件の処理状況では、新規申立(初審)は、毎年約400件弱です。


そしてその終結状況は、3分の2がやはり取り下げまたは解決での和解で終わります。


合同労組は、不当労働行為という言葉をよく言ってきますが、何ら恐れることはありません


救済命令等を発出するのは、労働委員会であり、合同労組ではありません。


現実に救済命令等の決定は、毎年100件程度しかありません。


また、全て合同労組の主張が認められている訳でもありません。


どうでしょうか?不毛な団体交渉を行うよりも、最初から労働委員会でやったほうが、良い場合もあります。


「大事なのは、まずは団体交渉に応じるかどうかを時間を確保して検討することです。決して、すぐに応じることではありません。」


当相談室には、是非、このタイミングでご相談ください。

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