事例-2 自己都合退職から労組加入・・・

自己都合退職した労働者が合同労組に加入し、未払い残業代の支払を求めて団体交渉を要求しきましたが、会社はこの要求を拒否した事例です。
ポイントは団体交渉の拒否は正当か否か。

【事件の概要】

当該企業(以下「会社」)は、エステサロン店を8店舗展開している従業員40名の会社。


当該従業員(以下「B」)は、これまで同業他社を3社ほど経験しており、エステティシャンとして入社してきた。


仕事の密度は、繁閑の差が激しく、忙しいときは、なかなか連続1時間の休憩は取れない状況であった。


しかし、女性だけの職場でもあり、時間が空けばお茶タイムは結構あるので、通算すれば1時間程度の休憩は取れていた。


また、新規事業としてネイルサロンを行うため、ネイル技術を習得したい者に対して、ネイル技術者が店舗の営業時間終了後に2時間程度の自主研修を週1回行っており、Bもこの自主研修に参加していたが、この時間に対しては賃金は支払われていなかった。


結局、Bは1年半勤務後、退職願を提出し、自己都合退職となった。


在職中は、同僚等に残業代が少ないとか、休憩時間も給料も少ないなどの不平不満を漏らしていたようだが、実際には、残業代はきちんと支払われていた。


Bは退職後半年以上も経過してから、社外の合同労組に加入したようで、団体交渉の申し入れ書が届いた。

【団体交渉の要求事項】

1) 就業規則写しの開示要求
2) タイムカードのコピーの要求
3) 残業代の未払い分についての請求

【交渉の過程】

合同労組からの団体交渉の申し入れ書に対して、Bは半年以上も前に自己都合退職しており、明らかに使用者の雇用する者ではないため、団体交渉に応じる義務は無いとの判断から、書面にてその旨を伝えた。


また、就業規則写し、タイムカードのコピーの開示についても、当然拒否した。


数回の書面のやり取りの後、不誠実な対応であり不当労働行為だとし、関与した私に対しては、東京都社会保険労務士会の苦情処理委員会に非弁行為を行ったとして、懲罰請求を含む申立をすること、労働委員会へのあっせん、審査請求などの申立、もしくは民事訴訟も視野に入れていることが記載された書面が返されてきた。


会社は、未払い賃金について再度精査したが、やはり未払い賃金は存在していなかった。そのため、再度下記の内容について質問を行った。


1) 労働組合法の第7条の二に「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。」との記載があるが、ここでいう「雇用する労働者」とは、現に当該使用者と雇用関係にある労働者をいうのであって、当然、かつて雇用されていた者や将来雇用されるべき者は含まないと解釈・運用されており、B氏のように半年以上前に自己の都合により合意退職した元従業員は、当該「雇用する労働者」には該当しないと考えることが相当である。


2) また、B氏より発行を求められた離職票にも、具体的事情記載欄に自己都合とされており、それに対するB氏からの事実相違の申し出も無いことから、退職に関して何の争いもなく、当該「雇用する労働者」には該当しないと考えることが相当である。


3) 以上の理由から団体交渉に応じる義務が無いことについて正当な理由があると考えているが、この主張が法的に誤りであり、また判例法理においても正しくないのであれば、その根拠を示すように要求した。


以後、合同労組からの回答は無し。

【解決】

数回の会社からの文書に対して、諦めたのか合同労組からは何の回答も無し。

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