団体交渉同席に関する当協会の見解

団体交渉交渉時における使用者側出席者に関する当協会の見解

合同労組(以下「ユニオン」という)が、使用者側の団体交渉の出席者について、弁護士等の資格の有無を参加条件にしたり、または特定の資格を問題視したり等、団体交渉の入り口で使用者側出席者の参加や発言に対して、「参加は認めないから退席しろ」「出席は認めるが発言はしてはならない」、「アドバイザーとしての参加であり、発言をする場合はユニオンの許可が必要」等と制限等を加える要求することがあります。

しかし、団体交渉の出席者については、一定の権限を付与された者であれば、労使双方が各々決定できる事項であり、誰が交渉担当者として出席するのかについて、ユニオンが指名または制限できるものではなく、ユニオンとの協議や合意が必要とされる事項でもありません。

団体交渉における交渉権限の委任は、「事実行為である団体交渉の『委任』であるから、法律的には、民法第656条に規定するいわゆる準委任である」とされています。(厚生労働省労政担当参事官室編「労働法コンメンタール No.1 六訂新版 労働組合法 労働関係調整法 」(以下「コンメンタール」といいます。374ページ参照。)

団体交渉が事実行為である以上、これにつき準委任を受けた者が団体交渉で交渉することが弁護士法72条にいう「その他法律事務」にあたらないことは明らかです。

そもそも、仮に団体交渉における交渉が、弁護士法第72条にいう「その他の法律事務」にあたるとすれば、団体交渉における労働組合側の交渉担当者の資格についても厳格な規制が敷かれるべきところ、そのような規制は存在せず、組合員以外の交渉担当者が交渉を行うことができます。

このことは、団体交渉における交渉が「その他の法律事務」にあたらないことを如実に示すものといえます。

さらに付言すれば、労働組合法は、労働者側の実際上の交渉担当者につき規定する一方(同法第6条)、使用者(企業)側の交渉担当者に関しては規定していません。

この点につき、コンメンタールは「労働組合側の実際上の交渉担当者については本条(注:労働組合法第6条)が規定しているわけであるが、使用者側の交渉担当者については本法上直接の規定はない。」「使用者側の交渉担当者についてふれた労働委員会の命令として、『団交の出席者としては、その団交が、協約の締結を目的とする場合には、その協約締結の権限を有している者、具体的には使用者、団体の代表機関もしくは使用者の委任を受けた者が出席していればよいと考えられ、団交の席にだれを出席させるかは当事者が自主的に定めるべき固有の権限に属する事柄であって、いやしくも、相手方の団交への出席者の選定に関し、それに介入することは、団交権の範囲を超えた行為である』(愛知地労委命令 昭41年(不)7号 一草会事件 昭43・6・17)…とするものがある」として過去の地労委命令を紹介した上で、「なお、企業の従業員でない弁護士、経営者団体役員等も、使用者から委任があれば、団体交渉において使用者側の交渉担当者となり得ることはいうまでもない」と指摘しています(378頁以下)。

以上の通りの理由により、使用者側の団体交渉の出席者についての当協会の見解を申し上げます。

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