不当労働行為
不当労働行為審査のながれ
企業経営者様および経営者側の立場の方へ
組合対策は迅速かつ専門的な対処が必要です。少しでもお困りの際にはお気軽にご相談ください。
不当労働行為の申し立て
不当労働行為の申し立てができるのは、不当労働行為を受けたとする労働組合の個々の労働者です。
申し立て期間は、行為のあった日から1年以内となっています。(労働組合法27条2項)
実際の審問においては、1年以上前のことであっても、反・組合的意思の(補強的もしくは背景的)立証として証言されることが多々あります。
労働組合が申し立てを行う場合には、労働組合法に適合する労働組合であることを立証する資料をそえることが必要です。
なお、申立人は、命令書が交付されるまでの間は、いつでも申し立ての全部または一部を取り下げることができます。
審査委員の選任
救済申立があった場合は、まず、担当委員(公益、労働者、使用者の各委員)が決められます。
そして、調査・審問が行われます。
申立書の送付
申し立てがされると、申立書の写しを使用者に渡し、それに対する答弁書の提出を求めます。
この場合、使用者は、申立書の写しを受け取った日から10日以内に答弁書を提出しなければなりません。
主張の整理・証拠の整理
審査委員は、調査の期日を決め、当事者の出席を求めます。
当事者双方から申立書および答弁書の説明を聞き、その主張を裏付ける証拠の提出を求めます。
この証拠とは、資料および証人などをいいます。
審査活動
審査は、調査と審問の2段階に分かれます。
調査
調査では、公益委員を中心に労使双方の主張を聴いて争いのポイントや必要な証拠の整理をします。
審問
審問は、不当労働行為の事実があるかどうかを明らかにするために行われます。
争いの事実を知っている証人から公開の席で事実関係を尋ねます。
審問は、当事者双方が出席の上で行われるもので、裁判所の口頭弁論と似ています。
審問は、構成を期するために原則として公開されており、申し立ての日から30日以内に開始されることになっています。
審問の期日・場所は、あらかじめ当事者に通知されます。変更は相当の理由がない限り、認められません。
故意に出席を拒否したときは、一方のみの出席で審問を行うことも可能です。
陳述・証人尋問
証人尋問は、はじめにその証人尋問を申し出た当事者側が尋問(主尋問)をし、次に相手方が反対尋問をします。
審査委員および参与委員は、随時必要に応じて尋問します。
裁判と異なる主な点は、証人として呼び出した者に対する出頭拒否の制裁規定が存在しないため、いわゆる敵性証人や第三者的な証人(例えば、申立外組合員や第三者たる目撃者や医師など)については本人の同意がない以上、証言の実現が困難という点と、証人には宣誓の制度も偽証罪(刑法169条)の適用もなく、証言を部分的に拒否することに関しても制裁がないという点にあります。
当事者は、調査および審問において、当事者に代わり、あるいは当事者を助けるために代理人や補佐人を選任することができます。(審査委員の許可が必要)
ふつう代理人には弁護士が、補佐人には事情に詳しい上部組合の役員あるいは労務担当の重役、部課長などがなっています。
公益委員の合議
審問が終わると、公益委員会議において使用者の行為が不当労働行為となるかどうかを判定するための合議を行い、命令を決定します。
合議は非公開です。
合議に先立って審問に参与した労・使委員の意見を聞くことになっています。
(※労働者側委員、使用者側員は、審問に参与するが、評決権はない)。
公益委員会議では、以下の命令を決定します。
- 使用者の行為が不当労働行為であると判定したときは、申し立てられた救済事項の全部を認める命令(救済命令)
- 使用者の行為の一部が不当労働行為であると判定したときは、申し立てられた救済事項の一部を認める命令
- 使用者の行為が不当労働行為でないと判定したときは、申立を棄却する命令(棄却命令)
- 申立期間を経過した申し立てや、申立人の主張する事実が不当労働行為にあたらないことが明らかなときなどは、申し立ての却下
命令書の交付
合議によって決定した命令は、書面で作成されます。
交付の方法は、期日を決めて当事者の出席を求めて行います。(配達証明の書留で送付することもある)
命令書の効力は、交付の日(配達の日)から発生します。
被申立人が命令に不服の場合
命令書が交付された日から15日以内に、中央労働委員会に再審査の申し立てをすることができます。
また、この再審査の申し立てをしないで、命令書交付の日から30日以内に、地方裁判所に命令の取消を訴えることができます。
使用者が裁判所に訴えた場合、労働委員会の申し立てに基づき、裁判所は使用者に対し、判決が確定するまで労働委員会の命令に従うよう緊急命令を発することがあります。
申立人が命令に不服の場合
命令書が交付された日から15日以内に、中央労働委員会に再審査の申し立てをすることができます。
また、命令書交付の日から3か月以内に、地方裁判所に命令の取消を訴えることもできます。
和解
不当労働行為の救済申立事件は、すべて命令という形で終わるものではありません。
労働委員会は、審査の途中において、いつでも和解を勧めることができます。
事件は、その性質上、命令を出すよりも和解によって解決する方が適当であると判断されるものもあり、または当事者が命令により決着をつけるよりも、話し合いにより納得できる条件で円満におさめたいという意向を持つようなこともあります。
これは、命令による解決で労使間に亀裂を生じさせるより、労使双方が納得づくの和解により解決した方が、将来的には良好な労使関係を築くことになるからです。
ただし、労働委員会による和解は、民事訴訟上の和解と異なり、契約以上のものではありません。
あらためて民事訴訟を提起して判決を得なければ、民事執行法上による強制執行は行えません。
不当労働行為の審査において命令が確定するまでの間に、当事者間で和解が成立し、労働委員会がその和解の内容を適当と認めるときは、審査の手続は終了し、すでに発せられた命令は失効します。
和解調書の作成
和解に金銭の一定額の支払い等を内容とする合意が含まれる場合は、労働委員会は、当事者双方からの申立てに基づき、和解調書を作成することができます。
なお、強制執行に関しては、和解調書は債務名義と見なされ、これに基づく強制執行を裁判所に申し立てることができます。
ポスト・ノーティス
命令が発せられ、解雇が「不当労働行為」であると認定される場合、ポスト・ノーティスと呼ばれる告知文の一定期間・一定の大きさの掲示が合わせて命じられることがあります。
ポスト・ノーティスの命令に使用者が従わないときについても、1日につき10万円の過料に処せられます。(労働組合法32条後段同法27条9項)
最近では、必ずしも掲示とは限らず、文書手交の場合も少なくありません。
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