労働組合の戦術

労働組合による職場内でのビラ配布

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ビラの配布は、施設管理権との関係が薄いため、ビラ貼付の場合と判断は異なります。

ビラ配布の許可制を定める就業規則の可否

職場内の演説・集会・ビラ配布の許可制を定める就業規則の規定について、最高裁は次の判断をしています。

休憩時間中に「職場の皆さんへの訴え」と題するビラを休憩室および食堂で配布したもので、懲戒処分の対象となるとされたケース。

休憩時間中であっても、局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり、更に、他の職員の休憩時間の利用を妨げ、ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあって、その内容如何によっては、企業の運営に支障をきたし企業秩序を「乱すおそれがある」から許可をとることは合理性がある。

昼休みに工場食堂において、赤旗号外と参院選の法定ビラを従業員に配布したケース。

形式的に(このような許可制を定めた)規定に反するようにみえる場合であっても、実質的に職場秩序を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、規定違反になるとはいえない。

職場秩序を乱すおそれのない特別の事情の判断

そこで、何が「実質的に職場秩序を乱すおそれのない特別の事情」になるかですが、この点については、ビラ配布の態様、経緯、目的およびそのビラの内容を総合的に勘案して判断されることになります。

会社の敷地内であっても、会社の正門と歩道の間の広場でのビラ配布は、会社の施設管理権を不当に侵害するものではないとした判例もあります。(最高裁 S52.12.13)

就業時間外・職場外で行ったビラ配布であっても、そのビラの内容が企業の経営政策や業務等に関して事実に反する、あるいは事実を誇張・わい曲した記載であり、その配布によって企業の円滑な運営に支障をきたすおそれがある場合は、正当性は有しないとも判断されています 。

甲事件の原告および乙事件の原告らに対する、被告らの街宣活動およびビラ配布行為は、甲事件原告の名誉・信用の毀損、営業活動の侵害に該当し、乙事件の原告やその家族の私生活を侵害するものとして差止請求を認め、また、これらは名誉を毀損し、営業権および人格権を侵害するものであるとして、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償として、原告らそれぞれに慰謝料20万円の支払いが命じられた。

労働者Xが、他の労働者らとともに、就業時間外に、社宅でビラ約350枚を配布した。

これに対し、エネルギー供給業を営む使用者Yは、就業規則に定める懲戒事由である「その他特に不都合な行為があったとき」にあたるものとして、就業規則に定める6種類の懲戒のうち最も軽い懲戒である譴責(始末書を提出させて将来を戒めること)を課した。そこで、Xが譴責処分の無効確認を求めた。

判決:労働者側敗訴

Xは、労務提供義務を負うとともに企業秩序を遵守する義務を負い、使用者は、企業秩序を維持し、企業の円滑な運営を図るために、労働者の企業秩序違反行為を理由として、労働者に対し懲戒を課することができる。

職場外でされた職務遂行に関係のない労働者の行為であっても、企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に関係を有するものもあるから、使用者はそのような行為をも対象として労働者に懲戒を課すことも許される。

上記のような場合を除き、労働者は、職場外における職務遂行に関係のない行為について、使用者による規制を受けるべきいわれはない。

本件では、ビラの内容が大部分事実に基づかず、又は事実を誇張歪曲して被上告会社を非難攻撃し、全体としてこれを中傷誹謗するものであり、ビラの配布によりXの会社に対する不信感を醸成して企業秩序を乱し、又はそのおそれがあったものと認められない訳ではない。

したがって、本件ビラの配布は懲戒事由にあたり、譴責を課したことは懲戒権に認められる裁量権の範囲を超えるものではない。

下級審判決には、選挙ビラの配布について、特別な事情とは認められないとしたものがあります。(日本アルミニウム建材事件)

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