団交拒否に正当な理由があるとされた例

これまで、団体交渉を拒否することに、正当な事由があると判断されたケースには、次のようなものがあります。

  1. 労働組合の単なる協議機関とか連絡機関にすぎない組織からの団体交渉の申し入れを拒否
  2. 組合が組合員数さえも明確にしないまま、夏季一時金・皆勤手当の支給・生理休暇の有休化などについて団体交渉を申し入れてきたが拒否
  3. 従来は数10名の組合だったものが、試用者の大量加入によって組合員数が一挙に約100名に増加し、交渉事項が試用中の者を本採用にすることなど組合員の構成と重大な関係がある場合に、使用者が組合員名簿の提出を求めたが提出しなかったため、団交を拒否
  4. 特定の職場の組合員全員が、毎月5回ないし10回も就労時間中に開催される団交に出席して、毎回3~4時間、職場離脱をするため生産上の支障が発生することから、使用者が団交の時間と出席人数を制限したいと申し入れ、従前のままでの団交を拒否
  5. 団交要員について、組合三役・中央執行委員のほか必要に応じて一般組合員の参加に固執したため、団交要員が多すぎるとして拒否(若干名とは、数名、多くとも10名未満と解するのが相当と判示された)
  6. 会社役員の病気、支店の開設などの行事のため、差し支えが発生したことから団交開催日時の延期を求め、結果的に当初に予定された団交を不開催
  7. 病院の組合より、患者自治会の団交参加と傍聴を求められたが、病院がこれを拒否し、結果的に当初に予定された団交を不開催
  8. 使用者が弁護士に団交への出席を依頼し、弁護士の都合によって組合の希望した団交開催日より遅延
  9. 大衆団交と称して組合員の多数が団交の席に立入り、使用者側の交渉員を悪罵するなど正常な話し合いが期待できない場合に団交拒否
  10. 肉体的な限界を超えるほど長時間にわたる団交を強要する場合に団交を拒否
  11. 組合が団交の席上、大声で使用者を罵倒したり机を叩くなどの威嚇的態度にでた場合、その後の団交を拒否
  12. 組合交渉員が会社に対し暴言を続けるときは、団交を中断し、団交の続行を拒否
  13. 交渉委員でない組合員が団交の席に多数押し掛け暴力をふるい、個々に発言したり、罵声を浴びせて交渉を混乱させるなど正常な交渉を期待できないとき、団交を打ち切り、団交の続行を拒否
  14. 集団交渉と称する、同業他社と同席しての団交を拒否

(1) 同会社は、他石油会社とのサービス相互提供協定を結ぼうとしていたが、組合は、組合との協議なしには実施できないと主張した。


大阪地労委は、労働条件についての方針も含まれてはいるものの、この協定により直ちに従業員の労働条件が変更されるとはいえないとして、協定締結に関して団交に応じなかったとしても、不当労働行為とは認められないとした。


(2) 会社は早期退職支援制度を行おうとしたが、組合はこれが従業員本人の自主選択によるというのは形式上のことで、事実は退職強制であると主張した。


地労委は、本制度を有利な条件で早期退職者を募集する制度であり、労働条件に影響を及ぼすが、十分な説明が行われており、義務的団交事項に該当するとも認められないことから、不当労働行為に相当する団交拒否を行っているという組合側の主張は採用できないとした。


エッソ石油事件 大阪地労委 H13.6.22

区は知的障害者等の訓練事業を、杉並障害者福祉会館運営協議会に委託していたが、これを取りやめることになった。これに伴い、運協は組合員7名を解雇または雇止めした。


組合は、区・運協が団体交渉を拒否したことなどを不当労働行為に当たるとして、労働委員会に申し立てた。


東京地労委は、これを棄却(H12.1.26)、再審査請求が行われたが、中労委も棄却した。


判断の趣旨


運協は区から自立した組織であり、運協側が職員の採用・配置・勤務管理等を行っていた。


区の関与は公財産を財源とする委託者としての関与に止まる。廃止決定も区議会の承認を得るなど、所用の手続きを経て行われたものである。


運協の解雇も、組合員の雇用や再就職のあっせん問題等について継続して組合と団交を行ったが、結局合意が得られず、やむをえない処置であった。


十数回に及ぶ団交の議題は同一のものであり、実質的に繰り返し交渉が行われたと認められ、今後団交を重ねても行き詰まりが打開される可能性はないと考えざるを得ない。よって、団交拒否に正当な理由がないとはいえない。

このページの先頭へ