労働協約の余後効

余後効とは、労働協約が有効期間の満了やその他の理由で効力が失われた場合でも、それまで労働協約によって規律されていた個々の労働契約の内容が、存続することをいいます。


余後効について、労働組合法では何も定めていませんが、一時的に無協約の状態になったからといってそれまでの労働条件はその事実のみをもって変更させ得るものではありません。


労働基準法第92条は、就業規則の内容について労働協約に反してはならないと定めていますので、就業規則を変更しない限り、旧労働協約の定めた労働条件が継続されていくことにもなります。

退職金協定が、退職時点では失効していたケース。


最高裁は、労働組合と新しい退職金協定が締結されていないからといって、退職金請求権も発生しないと解するのは相当でないとした。


香港上海銀行事件 最高裁 H1.9.7

余後効が問題となる事案の多くは、失効した協約中に解雇協議約款又は解雇同意約款が存する場合に、その手続きを踏まずになされた解雇の効力を争うものです。


学説・裁判例の多くは、協約失効後も労働契約の内容として取り決めは生きていると解しています。

労働協約の失効後の労働条件は、これと異なる労働条件の定めの設定されない限り、失効した労働協約の基準的効力により修正されていた状態の労働契約によるものと解することが合理的であり、当事者の意思にも合致するものと考えられる。


都タクシー事件 大阪高裁 S51.11.11

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